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健康ライフ通信 > No.86-4

アミノ酸特集〜アミノ酸の製造方法

アミノ酸の原料は、石油系原料と非石油系原料があります。
石油系原料のアミノ酸は、石油を石油資化性の酵母や細菌を使って菌体の増殖をさせ、菌体からタンパク質を分離させたSCP (Single cell protein、微生物タンパク質)を原料として使用します。
非石油原料は動物原料、植物原料、その他の窒素化合物を原料とするアミノ酸で、原料中に含まれるタンパク質を分解して作られます。

抽出型アミノ酸生産

アミノ酸生産法で最も単純な方法が、抽出法によるアミノ酸生産です。タンパク原料と水をタンクに入れ、沸騰させてアミノ酸を抽出します。
原理は家庭でつくる鰹や昆布、いりこのダシと同じです。どちらの製法も長時間沸騰させるため、タンパク質(アミノ酸)が壊れてしまうことがあります。

●熱水抽出法
タンクに原料と水を入れて、長時間沸騰させてアミノ酸を分解します。原料によって抽出時間を変えますが、数時間から数十時間必要です。

●加圧熱水抽出法
熱水抽出法を発展させた方法として、加圧式抽出法があります。原理は抽出法と同じですが、タンクを加圧し、100℃以上の加熱が出来るようになることで効果的にアミノ酸を抽出できます。
1次抽出で通常の熱水抽出法を行い、2次抽出で120℃6時間~12時間の加圧熱水抽出を行う等、組み合わせて抽出する製造法もあります。

分解型アミノ酸生産

抽出型は抽出に時間がかかり、原料のタンパク質を完全に抽出できないために決して効率の良い製法とは言えません。
原料のタンパク質から出来るだけ多くのアミノ酸を生産するためには、より効果的なアミノ酸生産法が必要になり、タンパク質を直接分解する方法が開発されました。
いくつかの方法がありますが、まとめて分解法と呼びます。
アミノ酸調味料の製造でも、抽出型と分解型を目的に応じて使い分けていますが、現在は分解型が主流となりつつあります。
発酵型と比べても生産設備が比較的安価で、放射線設備や遺伝子組み換え設備が必要ないために、特に酸分解法は広く導入されています。

●自己消化法

タンパク原料が持つ、自身のタンパク質分解酵素によってアミノ酸に分解します。
例えば魚のエラにはタンパク質分解酵素が多く含まれ、そのままでは自身の酵素によってタンパク質が分解されてしまいます。鮮度を保つためにエラを取ってしまうのはこのためです。
自己消化法を応用したアミノ酸生産では、魚醤などに含まれるアミノ酸があります。主に水産加工後の資源の有効活用のために利用されています。

●酵素分解法

自己消化法と似たプロセスの生産法ですが、自己消化酵素を持たない原料の場合に適しています。
原料に消化酵素を加え、タンパク質を分解してアミノ酸の生産する方法です。
この方法がアミノ酸の大量生産を可能にし、アミノ酸調味料の市場拡大に大きな役割を果たしました。
原料と目的とするアミノ酸に応じた酵素を使用することで、多様な製品を作ることができます。
発酵型アミノ酸生産と違い、微生物の繁殖を必要としないため、短時間に安価なアミノ酸を生産する事が出来ます。

●酸分解法

原料に濃塩酸を加え、加水分解によってタンパク質をアミノ酸に分解する方法です。
主にアミノ酸調味料生産に使われています。
加水分解の際にアミノ酸が変質したり、生産過程で苛性ソーダなどによる中和が必要になります。
高濃度の塩酸を使うために、タンパク質を効率良く分解することが出来ます。
動物原料、植物原料にかかわらず、タンパク質が含まれている物は原料として使用できるため、幅広い原材料が使われています。
酵素分解法では分解しにくいタンパク質でも、この製法では容易に分解することが出来ます。
この製法はアミノ酸に限らず様々な物質の生産に使われ、一般的に加水分解と呼ばれる製法は、酸分解法と同様の製法です。

発酵型アミノ酸生産

微生物の発酵を使い、アミノ酸を作り出す方法です。
一般的な発酵では、タンパク質を発酵によって分解する事を言いますが、この方法ではタンパク質原料が無くても、微生物(バクテリア)の繁殖活動の中で、アミノ酸を生成する事が出来ます。

●微生物発酵法

自然界にはアミノ酸を生産する微生物が沢山います。
微生物の種類によって生産されるアミノ酸は異なりますので、目的とする微生物を探します。
一般的に微生物は自分自身に必要なアミノ酸しか生産しませんので、放射線処理などによって微生物の性質を変えて使用します。
原料のタンパク質量に関係なく、微生物が増殖できる環境を整えることでアミノ酸を生産することが出来ます。
この製法では、微生物(バクテリア)の繁殖に必要な糖分さえあれば、アミノ酸の製造が可能です。 現在ではアミノ酸生産に広く使われる製造法ですが、微生物が生み出す不純物には有害な物もあり、微生物自体の性質が変化した場合には予想外の不純物が生まれる可能性もあります。

発酵分解法

発酵分解法は発酵によってタンパク質をアミノ酸に分解します。
微生物発酵法と違い、原料にタンパク質が含まれることが条件です。その他の製法と比較すると生産効率が悪く、アミノ酸製品を安価に製造する場合には向きません。

●麹発酵分解法

麹菌を使って原料となる穀類のタンパク質を発酵分解し、アミノ酸を生産します。
日本古来からの発酵法を使うことで、安全性が高い生産方法です。反面、時間がかかり、仕込みなどの手間がかかります。
生産されるアミノ酸は、原料となる穀物によってバランスが異なります。目的とするアミノ酸を取り出すには、原料となる穀類などに合わせた、数種の麹菌を使い分ける高い発酵技術が必要とされます。

2026年8月29日