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健康ライフ通信 > No.81

腎臓の機能低下。

タンパク質の摂取制限のデメリットと、 摂るべきタンパク質の「質」。

腎臓病の中でも長年にわたって腎臓の機能が低下し、多尿や夜間頻尿の原因になったりするのが慢性腎不全です。
沈黙の臓器と言われる腎臓は機能が低下しても症状が出にくく、機能の回復が難しいともされています。

腎不全とタンパク制限

慢性腎不全では、食事療法としてタンパク質の摂取制限が必要と言われます。
体を作るために最も必要なタンパク質は、食事で摂ると体内で分解するときにアンモニアが発生します。アンモニアは毒性が高く、そのまま脳に入ると障害を引き起こします。
アンモニアは肝臓で無害な尿素に変わり、腎臓で尿中に排泄されます(下図:肝臓の尿素回路)。
腎臓の機能が低下すると尿素の排泄が減少してしまうので、血液中の尿素濃度が高くなる尿毒症を引き起こします。尿毒症は「疲れやすい」「息切れがする」「尿量が減る」「むくみ」「食欲低下」などの症状や、高血圧、高カリウム血症、貧血を引き起こし、放置すると生命の危機につながります。腎臓で老廃物の処理が出来ない状態になると、定期的に血液透析(人工的に老廃物を濾過する)が必要となるのです。
尿素の発生を減らすために、タンパク質を摂取しないようにするのですが、その結果慢性腎不全の人は低栄養になってしまいます。
低栄養はタンパク質制限だけが原因でなく、異化亢進(体内のエネルギー不足で筋肉などの体内組織を分解してエネルギーを得る)や、透析によって栄養素が奪われたり、代謝や分泌異常も原因となります。

肝臓のアンモニア分解

アミノ酸による治療

そこで一般的にはBCAAアミノ酸を強化し、アルギニンを減らした「腎不全用アミノ酸輸液」の投与となります。
アルギニンは肝臓でのアンモニア処理に関わるアミノ酸で、体内でアミノ酸からタンパク質を作る働きもあるアミノ酸です。
アンモニアから尿素を作る働きを抑制する事で、腎臓への負担を減らすためにアルギニンを制限するのですが、体内のアンモニア濃度が高くなったり、体内に必要なタンパク質の合成にも悪影響が出ます。
さらに腎不全用アミノ酸輸液は濃度が低いため、必要なアミノ酸を投与しようとすると水分量が多くなり、腎臓への負担も増加します。腎機能低下であっても、短絡的に投与するのは安易すぎる治療であり、口から栄養補給できる状態では安易に使うべき方法ではありません。

大切なのはタンパク質(アミノ酸)の「質」

タンパク質制限においても、制限するのはタンパク質の「量」であって「質」ではありません。
摂取量では動物性タンパク質を基準にする事が多いのですが、それは1950年前後の日本の「必須アミノ酸が不足している時代に効率よくアミノ酸量を上げるため」の指導がされてきた名残です。
現代においてタンパク質を摂取するには動物性タンパク質よりも、植物性タンパク質が(特に腎不全患者においては)利点が多いと注目されています。
動物性タンパク質が抱える問題点としては、「体内のpH(酸とアルカリ)バランスの悪化」「血中のリン酸濃度の上昇」「血圧への悪影響」などがあります。
また、動物性タンパク質には飽和脂肪酸やコレステロールが多く、動脈硬化や血管系疾患の影響もあるため、血流の悪化で腎臓への負担はさらに高くなってしまいます。
2010年に発表された「低炭水化物食と死亡原因の関係」「動物性と植物性タンパクの食事と糖尿病・癌のリスク」によると、動物性タンパク質の摂取増加は血管疾患・癌による死亡、糖尿防の発症と関連すると報告されています。
タンパク質を摂取するには、植物性タンパク質だけで十分だと考えたいのですが、実は植物性は動物性に比べて吸収率が良くないというデメリットがあります。

高濃度の植物由来アミノ酸

高濃度アミノ酸エキスの製造を行っている霧島黒酢では、玄米や玄麦、菊芋、黒豆、ハトムギといった穀類原料を使って、アミノ酸を作っています。
現在では合成や化学的抽出の安価なアミノ酸原料を使った製品の多い中、霧島黒酢のアミノ酸製品は発酵製法という、手間暇のかかる製法で作られます。
植物由来のアミノ酸の特徴として、先述の動物性タンパク質のリスクがなく、穀類に含まれる必至アミノ酸を無駄なく摂る事が出来ます。
穀類を麹菌で分解する製造法ですが、霧島黒酢は穀類と麹菌の種類を使い分けることで、異なるアミノ酸バランスのエキスを作り出せます。
出来上がったアミノ酸原液を濃縮してエキス化する際も、熱処理や化学的処理をしない、独自の濃縮法で高濃度に濃縮しています。
高濃度に濃縮されたアミノ酸エキスは、保存や運搬時に安定した状態を保つ事が可能になりました。
バランスの異なるアミノ酸エキスをブレンドしたり、さらに濃縮してカプセル化し、アミノ酸サプリメントになります。
お客様の症状や必要とするアミノ酸に合わせて、オリジナルのアミノ酸エキスを作る「オーダーメイドアミノ酸」もあります。
体が必要とするアミノ酸を、弱った臓器に負担をかけず、高濃度に摂取する事を目指したのが霧島黒酢の植物由来アミノ酸エキスなのです。

2023年6月21日

▪️参考資料 「タンパク質の質と腎臓の関係」日腎会報(2019年)
「腎不全の栄養管理における静脈栄養の意義と実際」 日本静脈経腸栄養学会雑誌(2018年)